【第1回】大木トオルさん/一般財団法人国際セラピードッグ協会 代表

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第1回目は、年間1万2千人の方にセラピー活動をおこなっている一般財団法人 国際セラピードッグ協会。 セラピードッグと私たちとの関わりについてお話をうかがいに、代表の大木トオルさんのオフィスを訊ねました。 エグゼクティブい […]


第1回目は、年間1万2千人の方にセラピー活動をおこなっている一般財団法人 国際セラピードッグ協会。
セラピードッグと私たちとの関わりについてお話をうかがいに、代表の大木トオルさんのオフィスを訊ねました。

エグゼクティブいいともは、ワンちゃん大好きなエクゼクティブのオフィス&お宅を訪問して、いろんなお話をレポートします!

 

日本の社会と犬たち

まず犬の歴史からお話ししましょう。
犬は1万2千年前には人間といっしょに暮らし始めました。狩猟文化が中心だった欧米では、犬は家族として扱われ、その能力を早くから活用していました。一方農耕文化が中心の日本では、家の外で番犬として飼われ、犬の能力を引きだすことはありませんでした。その結果、犬を家族の一員として接し、「飼う」のではなく犬と「暮らす」という言い方をする狩猟民族とくらべ、現在でも日本では、「飼う」という意識で犬に接しています。「暮らす」と「飼う」とでは、人間の気持ちは大きく違います。「飼う」というのは、人間が「飼ってやる」という意識であり、いざとなれば「捨ててもいい」という責任感の薄さが感じられます。それに対して「暮らす」という意識で接する場合は、お互いの存在を認め、権利を尊重し、最後まで責任をもって保護するという姿勢です。この長い間の生活習慣によって形成された犬に対する意識が、多くの捨て犬を生み、殺処分を行う原因となっているのです。
欧米では、さまざまなところで人間のために犬たちが活躍し、人間の心や身体のケアをおこなう動物介在療法にも携わっています。その主人公がセラピードッグで、警察犬や盲導犬より歴史は古く、65年になります。日本では、ペットブームのときに洋犬が輸入され、そのかわいらしさにやっと気が付き始めました。私がセラピードッグを日本に導入して25年が経ちますが、当時は社会的に認知されていない状態でした。そんなときに一匹の殺処分寸前の捨て犬と出会い、お互いに助け合って、日本にセラピードッグの活動を根付かせてきました。現在では、病院、特別養護老人ホーム、刑務所、学校、がん研究所など、年間1万2千人の方にセラピー活動をおこなっています。

 

捨て犬が人の命を救う

セラピードッグの育成と日本での普及に努めていた私たちは、2000年に千葉県松戸市にセラピードッグの訓練所「ユナイテッド セラピー・ジャパン・トレーニングプラザ」を開設し、2002年に全国的な組織として「国際セラピードッグ協会」を設立しました。日本でも着実にセラピードッグへの理解が深まり、社会的に受け入れられるようになった成果です。そのかげには、一匹の捨て犬の存在を忘れることはできません。 2002年にアメリカから初めてセラピードッグを連れてくることになりましたが、その年、後に私たちの活動を大きく前に推し進める役割を果たす一頭の犬と出会いました。その犬こそチロリでした。チロリは、アメリカから連れてきたセラピードッグのように血統書のついた犬ではありません。それどころか、あと一日遅れれば保健所のガス室で殺されてしまう運命の捨て犬だったのです。間一髪で救い出すことのできたチロリは、とても愛情深く、思いやりがあり、賢く、勇気のある犬でした。
それまでセラピードッグは、訓練に対応できる、選ばれた犬だけがなることができたのです。しかし私は、この雑種犬のチロリをセラピードッグとして育ててみようと決心しました。殺処分寸前の捨て犬チロリが訓練を受け、セラピードッグとして人を助ける姿を目にしたら、捨て犬とセラピードッグを見る日本人の目がきっと変わるだろうと考えたからです。それまでの常識からすると、とても大きな賭けであり無謀ともいえる挑戦でした。私がつくったセラピードッグになるための教育課程は45教科にもおよび、かなり優秀な犬でも試験に合格するまでには2年以上かかる厳しいものです。しかしチロリは、わずか6カ月でクリアしてしまいました。捨て犬が人の命を救うという日本独特のセラピードッグの文化を、チロリが根付かせたのです。

 

愛犬が家族の悩みを解決

こんなチロリはセラピードッグとして、多くの人を助けました。 やさしい素直な性格がわざわいして、学校にいけなくなった中学生がいました。セラピードッグが高齢者施設を訪れてお年寄りと接する姿を見たり、トレーニングにつきあううちに、犬の持つ不思議な力にはげまされました。やがて学校にも通えるようになり、愛犬をセラピードッグに育てあげ、お年寄りを元気づけたいと思うようになりました。 認知症をわずらい、すっかり記憶力が衰えてしまったおばあさんがいました。訪れるたびに、セラピードッグの名前を呼んで、ふれ合いたい、セラピードッグといっしょに車イスで歩きたい、という意欲がわいてきました。そして、犬の名前を覚え、ふれ合い、一緒に歩くようになりました。 それまで犬に触ったことがないおばあさんがいました。チロリの笑顔にうながされて頭をなでているうちに、心が通い合うようになりました。それからは日に日に言葉に勢いがつき、わかりやすく話せるようになりました。チロリに自分の言葉を伝えたいという思いが症状を改善していったのです。チロリと次に会える日を心待ちにすることで、生きる意欲を取り戻していきました。 年老いた親の認知症、お母さんの乳がん、お父さんの自殺、子供の家庭内暴力やいじめ、引きこもりなど、問題を抱えていない家族はありません。薬で治せないものばかりです。これらの不安や怒りで壊れかけた家族の関係を、セラピードッグは純粋な愛情とセラピーの技術で修復してくれるのです。私たちは捨て犬をセラピードッグに育てるだけでなく、それぞれの家庭の愛犬にセラピードッグの訓練を施し、家族の抱える問題を解決しようとしています。

 

大木トオルさん プロフィール

一般財団法人 国際セラピードッグ協会代表
1976年渡米。日本人ブルースシンガーとして初めてアメリカ永住権を取得。日米のブラック・ミュージックの架け橋となり、数多くの全米コンサートツアーを成功させるとともに、プロデューサーとしても多くのBIGアーティストを育てる。同時に、動物愛護家として日米親善に尽くし、動物介在療法のすて犬のセラピードッグ育成のパイオニアとして70年代より活躍。社会福祉学者(日米)。2002年、全国的な組織として「国際セラピードッグ協会」を設立、代表に就任。A.M.S(アメリカンミュージックシステム)代表、ユナイテッドセラピージャパンinc代表、被災犬保護代表、弘前学院大学客員教授も務める。
大木トオルオフィシャルサイト:http://toru-oki.x0.com/
国際セラピードッグ協会HP:http://therapydog-a.org/
国際セラピードッグ協会FB:https://www.facebook.com/TherapyDog.A/

この記事を書いた人
Bowwow父さん
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父親の立場から、犬の気持ちになって、犬の食と健康に役立つ情報を取材するライター。我が子のために日夜ドックフードを食べ続け、ベストなフードを探しています。