シニア犬と一緒に暮らすために知っておきたい9つのお世話のポイント

介護・終活

一緒に暮らしてきた愛犬も年齢を重ねていくと、ある日いつものように遊ばなくなったり、元気がなくなったりします。認めたくなくてもいつの間にか歳をとっておじいさん犬、おばあさん犬になっていきます。愛犬が歳をシニア犬となったら若いときとは違ったお世話や付き合い方をしていくことが必要です。シニア犬のお世話のポイントをお話しします。

1、犬の老いに気が付くには愛犬の観察が欠かせない

犬と人間とでは歳のとり方が違います。たとえば人間の60歳くらいからを老人とすると、小型犬では9~11歳、中型犬では8~9歳、大型犬の場合は7~8歳となります。大きさによっても違いますし個体差があるので、普段の行動にも注意して老化をチェックしましょう。

【犬の老化を見つけるポイント】

①見た目から見つける

お尻が小さくなった。白髪が目立つようになってきた。眼が白く濁るようになった。やせて体形が変わってきた。イボができ始めた。フケがよくでるようになった。抜け毛が以前より目だつようになった。

②動き方から見つける

後ろ足の歩幅がせまくなってきた。呼ばれても応えないことが多くなってきた。物にぶつかることが多くなった。立ったり座ったりするのに時間がかかるようになった。散歩をしていると息が切れるようになった。誘ってもあまり遊ばなくなった。おもらしをするようになった。さわられるのを嫌がるようになってきた。

③排泄物から見つける

オシッコが赤っぽく、前とくらべて濁っている。いつもと違うにおいがしたり、出切らないようだ。ウンチがゆるかったり固かったり、消化されていないものが混じるようになった。同じフードをあげているのに、以前と違うにおいがしたり、粘液が混じっている。ウンチが極端に赤っぽかったり、黒っぽかったり、ちゃんと出切らない。 当てはまることが多いようでしたら、そろそろ老齢犬の仲間入りです。これから紹介する「老齢犬との暮らし方」を参考に、ワンちゃんとたのしく暮らしてください。

2、愛犬の体の状態に適した運動を

犬も歳をとると筋肉が落ちてきて、動きも緩慢になります。でも運動を控えるのは禁物です。運動不足は老化を加速させます。なかでも散歩は一番の運動になり、心もリラックスさせることができます。 若いころと同じコースを歩こうとすると、からだに無理がかかってきます。体調と相談しながら、距離を短くし、坂道や段差はさけるようにしましょう。
夏なら涼しい朝や夕方、冬なら暖かい日中を選び、雨や風の強い日、体調のすぐれないときには休むことも必要です。 散歩の前には、リードをつけて部屋の中を歩かせたり、関節を軽く曲げ伸ばししたり、ストレッチをしてあげるのも良いでしょう。また、散歩の途中で公園や空き地などを見つけ、ボール遊びなどをしてあげると、気分転換にもなって散歩が楽しくなります。 こまめな水分補給も忘れずに♫

3、愛犬と一緒に遊んで老化防止

人間の老化防止と同じように「刺激」がワンちゃんの若さを保ちます。それにはどうしたらいいのでしょうか? いっしょに遊ぶことが第一。追いかけっこやボール投げ、じゃれ合うのもいいでしょう。そのためには普段からワンちゃんがどんなことに興味を持っているのか、たのしく感じるのはどんなことか、確かめておきましょう。
普段仲良しのワンちゃんと一緒に遊ぶのもいいでしょう。子犬と遊びたがるワンちゃんもいますし、ライバル犬に競争心を燃やすこともあります。 同じ毎日を送らずに、刺激と変化をつけてあげましょう。

4、身の回りや室内環境にひと工夫する

歳をとると何かと不安がつのるのはワンちゃんも人間もいっしょ。できれば家族の声がきこえ姿の見える場所に専用のスペースを作り、安心できる環境を整えてあげましょう。 歳をとると横になる時間も多くなります。あまり室温の上がらない場所に寝床を用意してあげましょう。室内で過ごす時間も多くなります。フローリングの床は爪が効かずすべることがあります。
階段は、降るのは昇るのより苦手になります。家具の角などにもぶつかりやすくなります。カーペットを敷く、いっしょに降りる、クッションを貼るなどの工夫をしてあげましょう。 しかし老いたからといって、バリアフリーの住まいを用意するわけにもいきませんし、運動の機会を取り上げてもいけません。老いていく過程を注意深く見守って、ワンちゃんのからだのサインに気づいて対応してあげることです。ちょっとだけ先を見ながらひと工夫してみしょう。

5、シニア犬のからだのケアをしてあげよう

犬も歳をとるとボディケアがとても大切になってきます。 ブラッシングは皮膚の汚れを落とすと同時に血行をよくして筋肉をほぐし、代謝を上げる効果があります。からだを清潔に保つことだけでなく、なでることでしこりやからだの異常や病気の早期発見につながることがあります。定期的な爪切りや歯磨きもしてあげてください。 体力があるうちはなんでもなかったシャンプーや入浴も次第に難しくなってきます。そんなときには、小さなベビーバスにお湯をためて半身浴などをさせるのも良いでしょう。

もし愛犬が寝たきりになったら、ウォーターレスシャンプーを使ったり、蒸しタオルでからだを拭いてあげると喜びます。汚れやすい天然孔(からだの中と外を結ぶ目、鼻、口、耳、生殖器、肛門)は特にていねいにふいてあげたいですね。ウォーターレスシャンプーは刺激の少ないものを選び、つけすぎないようにし、あまりごしごし拭かず、やさしく拭き取るようにしましょう。

6、シニア犬になるとかかりやすい病気がある

歳をとって元気がなくなると、「歳のせいだから」と簡単に片づけがちです。しかし、治療が必要な病気が進行していることもあります。やはり早期発見、早期治療がワンちゃんの健康にも大切です。そのためには5歳からは年に1回、7歳からは年に2回定期健康診断を受けるのがおススメです。もちろん狂犬病やフィラリアの予防接種も忘れずに。ワンちゃんのかかりやすい病気は犬種によって特徴があります。同様に老犬がかかりやすい病気もあります。

①がん

皮膚、内臓、血液、骨とあらゆるところにできます。しこりを意識してボディケアを行い、からだに変化がないか普段から注意してあげましょう。

②骨・関節症

肥満が原因になることもあります。普段から運動を欠かさず、筋力を鍛えるとともに骨に必要な栄養をしっかりとるようにしましょう。

③消化器系

歳をとるにしたがって胃や腸などの内臓の動きが鈍くなってきます。日頃から排泄物のチェックをして、消化しやすい食事に切り替えるなどしましょう。

④皮膚病

免疫力や新陳代謝が衰えるとともに脱毛やかゆみなどを訴えます。ホルモンやアレルギーも考えられますが、ノミやダニを寄生させないように皮膚を清潔にしましょう。

⑤眼病

水晶体のタンパク質が変質しやすくなって白内障にかかるケースがあります。糖尿病など他の病気との合併症のケースも考えられるので、早めに獣医さんに相談しましょう。 これら以外にも循環器、泌尿器、歯・口の病気など、若いうちには考えられなかった病気にもかかりやすくなります。ちょっとでも変だなと思ったら、すぐに獣医さんに相談すると良いですね。

7、シニア犬の食事に心配りを

歳をとるにつれてかむ力が衰え、固い食べ物が食べにくくなります。飲み込む力も弱くなってきます。そんなときにはちょっと手助けを。食事の世話には3つのポイントがあります。

①食べさせる姿勢に工夫を

立ち上がれなくなるとどうしても寝かせたまま食べさせることが多くなります。それでは食道の途中に食べたものがたまり、胃にきちんと送られません。食事をする際はからだを起こし、食器を高い位置に置いて食べやすくするなど、工夫をしてあげましょう。

②食べ物の固さに工夫を

歯が悪くなったり、かむ力が弱ってきたら、ウェットタイプの食事に切り替えてあげましょう。なければドライタイプのフードでも水分を加えて流動食に近いものにしてあげましょう。すり鉢に入れたフードにぬるま湯を加え、粒がなくなり滑らかな状態になるまでつぶします。フードプロセッサーで砕いたり、サプリメントや栄養補助食品を足すのも良いでしょう。

③水分をとらせる工夫を

からだを動かさなくなると水を飲む機会が減りがちになります。寝たきりになった場合、朝起きたときや食後、昼寝の後など、いつ飲むかきちんと教えてあげることが大切です。シリンジ(針のない注射器)やスポンジを使って飲ませるのもいいでしょう。なければドレッシングの容器をよく洗って使うのも良いでしょう。

8、かかりつけの獣医さんや動物病院との付き合い方

若いときは獣医さんにかかることが少なかったワンちゃんも、歳をとるとともにお世話になる機会も増えてきます。病気のときだけでなく、日頃から困ったことがあったら遠慮なく相談できる獣医さんを見つけておくと良いでしょう。普段からコミュニケーションを密にして、ホームドクターとして付き合うことをおススメします。 その際、なるべくすぐに相談に行ける家の近くのホームドクターになってくださる先生を探すのが良いでしょう。
若いころからの病歴やからだの特徴を知っている獣医さんに、老齢にともなう病気の治療や介護の相談にのってもらえるなら理想的です。 お友達の評判を参考にしたり、予防注射の際に保健所の方にきいてみたり、ホームページをチェックするのもおススメです。

9、愛犬を介護する心構えをしておこう

人間の介護と同じで、なんでも自分で背負い込まずがんばりすぎないことが長続きさせる秘訣です。ワンちゃんは世話をする人間の気持ちを敏感に察知します。義務感にとらわれたり、暗い気持で接するのは避けたいものです。そのためにも、ポジティブに「頑張りすぎない手抜きの世話」をめざしましょう。

【頑張りすぎない手抜きの世話のコツ】

①ワンちゃんの状態に合わせた世話の仕方を見つける

普段からワンちゃんと遊んだり、触れ合ったり、ブラッシングしていると、ワンちゃんの異常にすぐに気がつきます。状態を正確に把握できれば、どんな世話が必要かわかります。

②身近にあるものを上手に活用する

今では床ずれ防止の低反発マットや洗浄びんなど介護グッズもたくさん開発されています。マヨネーズの空きチューブやドレッシングのボトルなど、よく洗って使えるものもあります。100円ショップで意外な使い方のできるグッズを発見することもありますよ。

③生活のリズムをつかむ

食事、昼寝、排便、運動などに適した時間帯があります。そのタイミングがわかれば排便のタイミングをみて介助する、機嫌のいい時間帯にボディケアをする、買い物は昼寝中に行くなど、生活のリズムに合わせたスケジューリングができ、時間を有効に使えます。

④信頼できるホームドクターを見つける

普段の世話は家庭でもできます。しかし、もしものときや専門家の判断を仰がなくてはならないときには獣医さんの存在が重要です。普段から気軽に相談のできる獣医さんを探しておきましょう。

⑤治療が必要かどうか判断して適切な処置をする

歳をとってくると、ワンちゃんの不調はどうしても「歳のせい」と考えてしまいがちです。歳をとってからの病気も早期に適切な処置をすれば、ワンちゃんの健康寿命を延ばすことができます。 正確な知識を身につけて、ワンちゃんと健康にたのしく暮らしましょう♪

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Bowwow父さん

Bowwow父さん

父親の立場から、犬の気持ちになって、犬の食と健康に役立つ情報を取材するライター。我が子のために日夜ドックフードを食べ続け、ベストなフードを探しています。

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